今日は天気がいいので散歩に行った。前バスに乗ってた時に道路から水路に多くの船が停泊してる様子を見てなんだか気になり、暇だったので歩くことにした。東北線に乗って東神奈川で降りるとよく晴れてて気持ちよかった。
そのまま子安の方に行ってもよかったのだが、道を歩いていると遠くに大きな橋が見えたのでそっちの方に歩いて行くと貨物線の廃線跡があり、茶色に錆びついていた、橋は高島の工場に続いていたが立入禁止と書かれていたので渡ることはしなかった。橋からはみなとみらいや大さん橋、山下埠頭の方まで見えた。
道を引き返して十数分ほど水路に沿って歩いていると目的地の子安漁港についた。目的地といっても水路に沿って古い家が並んでるだけである。漁港という名が付いてはいるが魚河岸などがあるわけでもなく、ただ濁った水の上に小さな船が何十隻も泊まっていた。人気もあまりなく、つげ義春の漫画の世界のようである。舫い綱のこすれるキイキイという音だけが聞こえた。途中喉が渇いたので自販機で売っていた「金太洋 つぶオレンジみかん」という九州のご当地ドリンクを買って飲んだのだが、みかんの缶詰に残ったシロップのような味がした。
私の好きなpanpanyaという漫画家の「魚社会」という作品には鶴見漁港という架空の地名が出てくる。現実の鶴見は工業地帯であり漁港なんてないのだが、子安と鶴見が近所にある事もあり、漫画の背景のごちゃごちゃとした雰囲気に近いものを感じた。
子安漁港の周りを歩いて思ったのが、横浜というのは散歩に向いてる町なんじゃないかという事だ。区画整備などとは無縁な入り組んだ道や古い町工場の数々、半暗渠化した濁ったドブ川など一見すると何の魅力もないものだが、歩く事を目的にした散歩ではそれがなかなか味のあるランドマークとなる。市の大部分が多摩丘陵の端に位置しているため起伏が多く、生活するには少々めんどうだがその分町作りに変化が生まれて面白い。ただぶらぶらしてるだけでもあまり退屈はしないと思う。
東神奈川から寄り道しながら歩き、子安に着く頃には1時間半ほどかかった。これが長いか短いかは人それぞれだと思うが、個人的に散歩というのは2時間を超えると苦痛に感じる部分の方が大きくなってくるので丁度良かったと思う。普段電車で通り過ぎるだけの町だったので、実際降りて歩いてみるとゲームでバグ技を使い本来は入れないマップ外に侵入した時のようなワクワクがあった。
京急のホームは西日でてらされて全体的に黄ばんだような色をしていた。秋の終わりを感じる。